良質なアイデアを大量に出す実用的な13の方法をまとめた。
良いアイデア、それは生まれ持って選ばれた一部の人間だけが出せるものと一般的には思われがちだ。だが僕はそれに異を唱えたい。なぜなら、優れたアイデアというのは”正しい思考法やフレームワーク”を用いることによって生み出すことが可能だからだ。
一方で、世の中に出ているアイデア本や情報の多くは極めて抽象的な内容しか書かれていないのが問題として存在する。なぜ問題か?それは、抽象的なものでは実際の仕事に生かすことは難しいからだ。
だから今回の記事では、良いアイデアを機械的に生み出す”実用的なアイデアの出し方”のみを厳選して挙げた。デザインやアイデアを売りにするクリエイティブな人たち、仕事、ビジネス、起業にアイデアが必要なビジネスマンにも参考にして欲しい”実用的な13のアイデア発想法”である。
※本記事では実用的なアイデア発想法するが、アイデア創出含め、仕事を圧倒的に早くしたい方は『“圧倒的に”仕事が早い人になる6つの具体的方法』も本記事と一緒に参考にどうぞ。
目次
アイデアの種を集める方法
まずはアイデアの素となる”アイデアの種”を集める方法を紹介する。良質なアイデアの種を多く集めることが、優れたアイデアを出す上でまず最初に取り組むべきことだ。
カラーバス効果
Heavenly Beautiful Autumn | Stanley Zimny (Thank You for 21 Million views) | Flickr
アイデアの種を効率的に集める方法に”カラーバス効果”を利用する手法がある。カラーバス効果とは、自分が意識している色が自然と目についてしまう人間の効果だ。こんな経験はないだろうか?朝のニュースで今日のラッキーカラーは黄色だと聞き、1日中やけに黄色のモノが目に付いた経験を。これがカラーバス効果である。人間は意識した色が自然と目に入ってくるようになっている。この特性を利用すると、一見つながりのみえないアイデアの種を多く見つけることができるのだ。
例えば黄色を意識しているとしよう。すると黄色い車、カバン、服など、同じ黄色でもいろんなモノを1日中目にするだろう。この一見関係のないモノの組み合わせをつなげていくことで、それがアイデアの種になるのだ。
例えば建物の設計をやっている人が青色を意識したとしよう。そして青い家と青いサーフボードを見つけたとしよう。この2つをつなげると「海辺にある青を基調とした、サーファーのための家」をデザインする一つの発想が生まれる。一見全くつながりのないものをつなげるフレームワーク、それがカラーバス効果を利用する方法だ。
この方法は何も色だけに限らない。音、形、情報など幅広く応用することができる。まず一つ、意識する対象を決めよう。そして意識して目についたものをとにかく結びつけてみよう。そうすることで、自分でも驚くようなアイデアが生まれるのだ。
フォトリーディング
books | My first photo on Explore in more than 5 years! | Kurt:S | Flickr
良いアイデアの種をたくさん見つけるためには、たくさんのインプットこそが物を言う。そこで使える方法がフォトリーディングである。
フォトリーディングとは本や雑誌を読むことであるが、通常の読書と異なる点が一つある。その違いは、通常の読書が「文章を読んでいく」のに対し、フォトリーディングでは「絵や図を読んでいく」点だ。
フォトリーディングの最大の利点は”大量のインプットを最小の時間で得ることができる”点である。それは通常の読書が左脳を主に使うのに対し、フォトリーディングは右脳を主に使うからだ。文字を認識するのは左脳であり、文章を一通り読む通常の読書では、それを理解するには時間を要する。一方、自分にとって重要な情報を絵や図からイメージとして読み取る場合は右脳を使い、所要する時間は少なくなるのだ。
フォトリーディングを効率的に行うポイントは「自分にとって重要な情報のみを抜き取る」意識を持つことだ。そのためには本や雑誌を読む前に「自分はこの本から何を知りたいか」をまず明確にしよう。そして絵や図をパッと見て自分にとって知りたいものだけを抜き取っていく。こうすることで、自分にとって本当に必要な知識だけを最小の時間で得ることができる。
自分にとって不要なインプットを排除しよう。良質なインプットの数こそが、良質なアイデアの数となるのだ 。
王道を真似る
アイデアの種を見つけるには王道を真似ることが近道だ。王道を真似するのが最も早く、かつ良いアイデアを出すのに効率的な方法である。王道とは今自分がやろうとしている分野において、既に大きな成果を上げている人がやっている方法のことだ。
例えばデザインを学ぶ場合、まず最初は良いデザインを真似ることから始めるのが一般的なアプローチだ。ただ、最初は良いデザインを真似ることすらできない。それでも真似ていくことで、だんだんとそれに近づいていくようになる。努力を続けることでようやく良いデザインを真似ることができるようになったら、そこで初めて自分なりに変化を加えていこう。
この王道を真似るアプローチを取ることはなぜ効果的か?それは王道を真似ることにより、 良いモノに共通する「共通項」や「一定のルール」というものが自然とわかるようになるからだ。その共通項こそ、良質なアイデアの種の根幹となるものである。このレベルまでいけば、その共通項を意識しながらも自分らしいアイデアを作っていくことができる。
メモ書き
アイデアの種を集める段階では、気になったことはとにかくメモに残そう。なぜなら、人間はすぐ物事を忘れる生き物だからだ。メモは簡単なもので良い。一行だけでも良い。とにかく気になったことがあればメモをする癖をつけよう。そのメモを後で見て振り返ると、そこで良質なアイデアの種が見つかることが多いからだ。これは、人間というのはたとえ同じものを見ても、それを見るタイミングによって感じ方や見え方が変わることが原因である。この人間の性質を考えると、気になったことはどんなに簡易的だとしてもメモをしておいた方が良いのだ。
アイデアのメモであれば絵や図もかけるスケッチブックが一番ベストだが、文字のメモであればいつでもどこでも見れるEvernoteがおすすめだ。
アイデアを大量に広げていく発想法
良質なアイデアの種を集めたなら、次はその種をどんどん蒔き、芽を広げていく段階だ。ここではとにかく種を蒔いたり蒔き方を工夫することが必要である。そこでポイントとなるのが”正しいフレームワーク”を用いてアイデアを広げていくことだ。アイデアの種は正しいフレームワークを経てブラッシュアップすることで、本当の意味で良い芽となる。この章ではアイデアを発想して広げていく良質なフレームワークをいくつか紹介する。
ひたすら紙に書き出す
アイデアを広げる方法の一つが紙にひたすら書き出す方法である。アイデアの種をどんどん紙に書き出してしていくのだ。アイデアは頭で考えていてもなかなか広がっていかない。実際に手を使い、文字でも図でも良いので紙に書き出していくことが効果的だ。
紙に書いていく上で特に決まりはない。形式も気にすることなく、とにかく思ったことをどんどん紙に書いていこう。書く紙は裏書でもなんでも良いが、A4くらいのサイズが最もベストな大きさである。ただし、原則1つのテーマに1つの紙を使った方が良い。この辺のやり方はゼロ秒思考の以下記事がとても参考になるので、本記事と合わせて読んでみて欲しい。
マンダラチャート
アイデアを放射状に広げていくフレームワーク、それがマンダラチャートである。やり方は簡単。大きな正方形を用意し、それに線を引いて9つの枠を作ろう。9つの枠ができたら、その中央に自分が考えているテーマ(例:実現したいことなど)を記し、そのテーマに関して思ったこと(例:実現するための方法や要素)を周囲の8箇所に埋めていくのだ。
上記の図の例の場合、まずAにテーマが入る。そしてそのテーマに対して思ったことや案をBからIに埋めていくのだ。あらかじめ定義された枠が8つ設けられていることにより、脳も自然と働くようになるのがマンダラチャートの特徴の1つである。 8つ案が出たら、今度は周囲BからIの項目のうち、より広げていきたいテーマを中央に置き、再び周囲を埋めていくのだ。
ここで、8つ案を埋める前に「これだ!」という優れたアイデアが出たら、その時点でその優れたアイデアを中央に置き、それを広げる作業に入って良い。つまり、必ずしも最初のテーマで8つの枠を埋める必要はないということだ。
これを繰り返していくことで、優れたアイデアは厳選され、その優れたアイデアは更に放射状に広がりを持っていくのだ。このように、マンダラチャートは優れたアイデアを見つけ出し、それを更に広げていきたい時に使えるフレームワークだ。
iPhoneではマンダラチャートを実践するアプリがあり、スマホ一つでいつでもどこでもマンダラチャートが実践できる。
マインドマップ
NPR Mind Map | I was on WNPR’s “Where We Live” last night, a… | Flickr
マインドマップもマンダラチャートと同じでアイデアを放射状に広げていくフレームワークの一つだ。唯一の違いはマンダラノートはあらかじめ設けられた枠にアイデアを埋めて広げていったのに対し、マインドマップはそのまま放射状にアイデアを書いて広げていく点だ。
マインドマップを作るコツは、とにかく思いついたことを放射状に書いていくことだ。いちいち立ち止まって「これは良くないかな」と考える必要はないし、むしろ不要だ。ただし、良いと感じる案が出たときはわかるように記しをつけよう。
マインドマップも1つのアイデアから、それと関連するアイデアに広げていくときに使える発想法だ。マインドマップは縛りがない。頭で思ったことをどんどん自由に書いていこう。マインドマップは言い換えれば”頭の中を模写する”のと同義であるので、頭の整理をしたいときにも使える方法だ。
マンダラチャートと同様、iPhoneではSimple Mindというマインドマップ用のアプリもある。
なぜなぜ分析
マンダラチャート、マインドマップがアイデアを放射状に広げていったのに対し、なぜなぜ分析はアイデアを直線上に伸ばしていくアイデア発想法だ。1つのアイデアを直線的に考えていく方法なので、1つのアイデアを深掘りしたいときに使えるフレームワークだ。
あるテーマに対して「なぜ」や「どうして」を繰り返し、その答えを次々と直線上につなげていこう。「なぜこのアイデアが良いのか」「どうしてこの方法を選ぶのか」という風に「なぜ」と問い続けることで、安易な考えではなく、確かな考えと根拠のもと導き出された”洗練されたアイデア”にいきつくのだ。 このなぜは最低でも5回は繰り返そう。なぜなら、5回もなぜを繰り返すと、そのアイデアはだいぶ洗練されたものとなっているからだ。
直線的なつながりでアイデアを追求していくなぜなぜ分析は、一つのアイデアを深堀するのに最適なフレームワークである。
オズボーンのチェックリスト
オズボーンのチェックリストは優れたアイデアを出す有名なフレームワークの一つである。オズボーンのチェックリストには多様な視点からアイデアを検証するための9つの項目が存在しており、その9つのチェックリストに沿って考えていくと、自然と秀逸なアイデアに行き着くという優れものだ。
オズボーンのチェックリストの9項目は次の通りである。
- 転用 他に使い道はないか?
- 応用 他からアイデアが借りられないか?
- 変更 変えてみたらどうか?
- 拡大 大きくしてみたらどうか?
- 縮小 小さくしてみたらどうか?
- 代用 ほかのものでは代用できないか?
- 置換 入れ替えてみたらどうか?
- 逆転 逆にしてみたらどうか?
- 結合 組み合わせてみたらどうか?
前述の通り、オズボーンの9つのチェックリストはアイデアをブラッシュアップするために考慮するべき着眼点をまとめている。ゆえに、この9つの項目に当てはめて考えていくだけでもアイデアはかなりブラッシュアップされる。ただ漠然と良いアイデアを考えるのと比べると、オズボーンのチェックリストを元にアイデアの精度を上げていった方が何倍も効率、精度ともに良くなるのだ。オズボーンのチェックリストの項目は常に携帯やメモに入れて使えるようにしておくと良い。
ブレーンストーミング
ブレーンストーミングもアイデア発想法において有名なフレームワークの1つだ。実はこのブレーンストーミングは今まで紹介したものと異なる点がある。それは、今までの方法は「一人でアイデアを考えるもの」だったのに対し、ブレーンストーミングは「グループでアイデアを出すときに使う方法」である点だ。
ブレーンストーミングには次の4つの項目がある。
- 他人の意見の批判禁止
- 自由に発言する
- 質より量
- 他人のアイデアを使う
グループでアイデアを出そうとするとやりがちなのが1と2である。「1.他人の意見を批判すること」により「2.自由な発言」ができなくなり、結果として「3.量より質を求めること」ができなくなる。まずは自由な意見を皆がたくさん出せるよう、批判をするのではなく相手の意見を尊重しよう。その中で良い部分があればそれを取り込むことで、グループとして良いアイデアが出せるようになる。
そして4つ目の項目である「他人のアイデアを使う」だが、これは別の項でも書いた「王道を真似する」と同義と捉えて良い。良いモデルとなるアイデアや案は積極的に盗んで使っていこう。それが良質なアイデアの出し方の基本となり根本となるからだ。
アイデアを実際のサービスや商品にする方法
良質なアイデアを広げてブラッシュアップできたなら、最期はそれを実際にサービスや商品にして世の中に出す段階だ。ここではサービスや商品を世の中に出す上で重要な3つのコトをお話しする。
5W1Hを明確にする
アイデアを世の中でヒットさせるためには5W1Hを明確にしておく必要がある。5W1Hとは次のものだ。
- Who 誰が
- When いつ
- Where どこで
- What 何を
- Why なぜ
- How どうやって
5W1Hを明確に定義することで、アイデアの目的、対象、それを実行する方法が定まり、アイデアはサービスや商品となる。逆に5W1Hを明確にしない限りは、そのアイデアが誰のためのもので、何を目的としたもので、どうやって世の中に変化をもたらすかが定まらないままだ。それでは世の中でヒットするサービスや商品とはならない。
A4一枚でいいので、5W1Hをまとめた企画書を作ろう。この1枚がサービス、商品の根幹となり方向性となる。この1枚を作るか作らないかで、サービス・商品が受け入れられるか受け入れられないかが変わるのだ。
タイトルで人を惹きつける
どんな商品・サービス・企画であっても”タイトル”は重要な意味を持つものだ。ブログの記事もそう。どんなに良い記事を書いたとしても、タイトルが悪かったら人から興味すら持ってもらえない。逆にタイトルで人を惹きつけることができれば、とりあえず見てもらえる。そこからは内容勝負となるが、スタートラインに立つためにはタイトルが極めて重要だ。
例えばイベントを企画するなら、僕の考える良いタイトルとは次のような要素を含むものだ。
- キャッチーでインパクトのあるタイトル
- 読者自身がそれを見たとき、自分が楽しんでいる情景が自然と浮かんでくるようなタイトル
ブログやビジネスコラムの記事であれば、良いタイトルは次のようなものだ。
- 読者に「読むと得するどころか読まないと損する」と思わせるタイトル
- タイトルを読んだだけで何の記事か明確にわかるもの
- 数字やデータが入っており、客観的に見ても信憑性が高いと思われるタイトル
どちらもコンテンツ自体が最も重要だが、それでも入り口はあくまでタイトルである。タイトルを読んだだけで「楽しそう」「読むと得しそう」と思わせるようなタイトル付けが大切だ。
ビジュアライズする
summer crowd sad | website † instagram † facebook INPRNT † S… | vin ganapathy | Flickr
ビジュアライズとは”企画を絵にする”ことだ。良い企画は必ず絵になる。そして絵にならないものは決して良い企画とはならない。自分たちが企画したことでどのようなことが起きるか、絵に書いてイメージしよう。自分たちが企画したものがどうやって人を喜ばせているか、どうやって人々の悩みを解決し、どうやって笑顔を生んでいるか、この辺りが明確にイメージできれば、それは企画として通用する。
例えば企画したのがイベントであれば、そこにいる人がどう過ごしているか、何をどう楽しんでいるか、簡単な絵で構わないので絵に書いてイメージをしよう。絵に描くことにより、文字ではわからなかった詳細な部分が見えてくるのだ。
良いアイデアの出し方
アイデアの発想法というと大抵は抽象的になりがちだ。そういう事情もあり、今回は抽象的でなく具体的に使える良いアイデアの出し方を13つ紹介した。
良いアイデアの出し方に関して実践的で使える本は考具だ。実用的なアイデア発想法という観点では、考具が今出ている本の中で一番実践的で使える本だと思う。今回紹介したフレームワークの多くは考具で詳しく紹介されており、クリエイティブを仕事にしている人には特に読んで欲しい一冊だ。
アイデアやクリエイティブの原理原則を学ぶ観点では「クリエイティブ」の処方箋―行き詰まったときこそ効く発想のアイデア86がおすすめだ。スティーブ・ジョブズ、ココ・シャネル、スピルバーグ、フランク・ロイド・ライトなどの偉人たちの86のエピソードが描かれている本である。エピソードを通じ、彼らがいかにクリエイティブな発想をして、壁を乗り越え偉人となったかを知ることができる。壁にぶつかった時に参考になる、一冊手元に置いておくと良い良書だ。
こちらの記事を、株式会社レバテッククリエイター様のアイデアに煮詰まったときに参考にしたい記事特集にて取り上げていただきました。ありがとうございます。とても良い記事なので、ぜひ上記記事も合わせてご覧ください。
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