
僕は新卒で日系大手グローバル企業に入社し、20代でアフリカへの海外駐在を経験しました。日本、北米、南米、アジア、ヨーロッパ、そしてアフリカと、世界中を舞台に仕事をしてきました。
僕は貿易関係の仕事でしたが、取引先がメーカー・製造業が中心だったため、世界中にいるメーカーの海外駐在員と深く関わってきました。実際に多くのメーカー駐在員を見てきた経験から、メーカーの海外駐在員事情はかなり詳細まで把握をしています。
また僕は現在転職支援の仕事をしており、様々な大手メーカー企業の駐在員の給与や働き方事情にも精通してきました。
その経験から、今回は日系メーカーの海外駐在員事情について、そのリアルを徹底解説します。
- メーカーに入り、海外駐在員を目指したい学生や社会人
- 既にメーカーで働いており、将来海外駐在員を予定している人
どちらにとっても有益な情報になると思っています。3分ほどで読めますので、よければ続きをご覧ください。
▼ちなみに、メーカー駐在員に興味がある方は、「駐在員のキャリア事情」をまとめた以下記事もあわせて読むと、リアルな実態をより深く知ることができます。興味がある方は、本記事と一緒に読んでみてくださいね。
目次
日系メーカーの海外駐在員事情とは?【仕事、給料、福利厚生、ワークライフ、環境の5つの観点で解説】

まずはメーカーの海外駐在員事情について、
- 仕事面
- 給料面
- 福利厚生・手当面
- ワークライフバランス面
- 職場環境面
この5つの観点で解説します。
1. 仕事面
まず仕事面ですが、メーカーの海外駐在員の場合、現地で「製造工程」や「販促工程」に従事することとなります。
メーカー駐在員の仕事の事例
例えば自動車メーカーであれば、現地に自動車製造の工場があります。そのため自動車メーカーの技術者であれば、製造工程および現地スタッフを管理することが主な仕事です。
また電気機器メーカーであれば、現地で商品を広めることが必要です。そのため、電機機器メーカーの営業であれば、商品を広める販促活動が主な仕事です。
また、業種問わず、どこのメーカーにも経理の駐在員はだいたい存在します。経理として赴任した場合は、現地法人全体の経理・財務面を管理します。
ご覧いただいてなんとなくイメージがつくと思いますが、仕事内容自体は日本でやっていることと大きく変わらないんですよね。
メーカー駐在員の仕事で大変なのは日本品質を保つこと【想像以上に大変】
では何が海外駐在員の仕事は違うかというと、一番大変なことは「現地の方を動かし、日本品質を保つこと」です。海外駐在の場合、日本品質を守ることが、想像以上に難しんですよね…。
例えば事例を一つ。僕は駐在員として貿易の仕事をしており、メーカーに商品を卸していました。
メーカーとのやり取りでよくあったことは、「気づいたらこの部品が既に欠品していて、今から24時間以内に部品がないと製造ラインがストップしてしまう…」ということです。
本来、部品の調達は、スケジュールから遡って計画をしておき、欠品が出ないように仕立てておくものです。ですが海外の場合、現地スタッフの管理が緩いことは本当によくあるんですよね…。
また、約束通りのスケジュールで、外国人スタッフが仕事をしないこともよくありました。
このような、「日本ではあまり起こりえないこと」が頻繁に起こることが、メーカーだけでなく、海外駐在全体に共通している仕事事情です。
海外に行って思いましたが、日本の仕事の品質、クオリティは本当に凄いです。これは日本人が、自信を持って世界に誇れることです。
2. 給与面
続いて気になるお財布事情ですが、年収水準は高いです。
実際の年収は企業によって変わるため一概には言えませんが、自動車メーカーも電気メーカーも化学メーカーも、年収1,000万円水準は超えてきます。
一つの目安として、海外赴任者の年収は、
- 額面で約1.5倍
- 手取りで約1.7〜約1.8倍
これくらいが相場です。
つまり、日本で年収700万円であれば手取りは約540万円ですので、額面で年収1,050万円くらい、手取りで約900万円くらいになります。正直言って、収入水準は極めて良いです。
なぜ手取りが増えるかというと、それは現地の税制に基づいて税金支払いが行われるからなのですが、この辺りはかなり専門的で複雑のため、割愛させていただきます。
このように、駐在員の給料は手取りが多くなることが特徴なんですよね。
※年収水準はあくまで一つの目安のため、これより多くもらっている駐在員や、これより少ない駐在員もいます。
海外駐在員の年収事情についてより詳しく知りたい方は、以下記事もお読みください。
3. 福利厚生・手当面
続いてメーカー駐在員の「福利厚生」ですが、これも相当恵まれています。
例えば一般的なメーカー駐在員の福利厚生には、以下のようなものがあります。
・住宅手当(9割〜全額負担が相場)
・車やガソリン代
・お手伝いさん
・ハードシップ手当
・出張手当など
・日本への帰国費用(年1回〜数回分。帯同する家族分も)
一番大きいのは、なんといっても「住まい」です。メーカーに限らず海外駐在員の場合、日本ではとても住めないような豪邸に、会社の負担で住むことができる点がメリットです。
例えば、タイに赴任をしていたメーカーの駐在員は、ホテルのようなプール付きの豪邸に住み、本当に優雅な暮らしをしていましたよ。
住むエリアはだいたい現地で最も治安が良く、生活水準の高いエリアとなります。東京でいうと麻布や六本木のような場所ですね。
そのような場所に会社負担で住めるので、現地スタッフからはかなり羨ましがられると同時に、人によっては嫉妬を与えることもしばしばです。
他にも、
- 車が支給されたり
- 家事や洗濯をしてくれるお手伝いさんがついたり
- 日本への帰国費用を全額負担してくれる
など、数多くの福利厚生があります。
※ベトナムなどの東南アジアは運転できないので「運転手」が付くことが一般的です。これは管理職だけでなく、20代の若手駐在員にも付くことが多いです。日本だと考えられないですよね。
このように、メーカーの海外駐在員の福利厚生・手当事情は恵まれています。
4. ワークライフバランス面
これは企業や赴任する国によっても大きく変わるものの、僕が見てきた中では、他の業界と比べて、そこまで忙しくない駐在員が多かったですね。
例えば僕が赴任していたアフリカのメーカー駐在員は、だいたい夜18時には仕事を終えていましたよ。
18時半から駐在員や現地スタッフと飲みにいったり、あるいはジムやゴルフを楽しむなど、ワークライフバランスはかなり整っていたので、いつも羨ましく感じていました…。
ただ、忙しい国・地域・支店に配属されている場合は、遅くまで働いている方も多かったです。
まあこの辺りは国や企業、更には人によっても大きく変わります。どんな環境でも残業せず、ワークライフバランスを充実できるような方はいますよね。
とはいえ、前述した収入面・福利厚生面を考えれば、多少残業をしても、時給は日本にいるより相当良いことは間違いないです。
5. 職場環境面
最後は働く環境面。
まずメーカーから海外駐在に行く方の数は、総数的にも多いです。特に大手メーカーであれば、海外赴任先にたくさんの日本人がいますので、外国人だけに囲まれて仕事をするかというと、実はそうではないです。
特に日本人駐在員が多い環境にいくと、「ここ、日本よりも日本っぽいんじゃないか??」と思うくらいの環境もあります。笑
とはいえ、総数でいえば外国人の方が当然多いです。そのため彼ら彼女らと同じ職場で協働しながら、仕事を進めていく醍醐味はもちろんあります。
国際的なメンバーとグローバルに働きたいなら、やっぱり海外駐在員の仕事はやりがいがあるし、面白いなぁと感じます。
以上が、メーカーの海外駐在員事情です。
海外赴任できるメーカー企業は?【駐在員が多いメーカーの企業名はこちら】

実際に海外駐在員を目指せる、具体的なメーカーの企業名も挙げておきますね。
- 自動車メーカー(トヨタ自動車、日産自動車、いすゞ自動車、三菱自動車、マツダ、日野自動車、ダイハツ工業など)
- 自動車部品メーカー(デンソー、アイシン精機、矢崎総業、ブリヂストン、住友電装、豊田紡織、豊田合成、豊田自動紡機、住友ゴム、カルソニックカンセイ、横浜ゴムなど)
- 電機機器メーカー(パナソニック、SONY、キャノン、三菱電機、日立製作所、富士通、リコー、セイコーエプソン、コニカミノルタ、ブラザー工業、ニコン、富士ゼロックスなど)
- 電子部品メーカー(ミネベアミツミ、村田製作所、日本電産、京セラ、TDK、イビデンなど)
- 化学メーカー(住友化学、東レ、三菱ケミカル、旭化成、富士フィルム、日立化成など)
- 機械メーカー(コマツ、日立建機、ダイキン工業、三菱重工業、ジェイテクト、日本精工、川崎重工業、クボタ、茂原製作所、三菱日立パワーシステムズなど)
これらの企業は、特に海外駐在員の数が多い企業で、世界各国に赴任していました。実際に僕が現地でお会いしてきた方々も、上記会社群にいます。
中でもダントツで駐在員が多いのは「トヨタ自動車」ですね。
トヨタが工場を出している国には、トヨタの部品メーカーであるサプライヤー(デンソー、アイシン精機、豊田紡織など)も進出しており、トヨタ本体の出張者も数十名単位で中長期出張に来ていることも多いため、トヨタグループの数に圧倒されます。
もちろん、上記で挙げている企業以外にもたくさんのメーカーが海外駐在員を輩出しています。
このように、海外駐在できる企業は、実は知られていないだけで「たくさんある」んですよね。
海外赴任しやすいメーカーの職種は?
実はメーカーの海外駐在員になりやすい職種があるので、ここで紹介しますね。
技術系職種が最も駐在員になりやすい
メーカーの海外駐在員で一番多いのは「技術者」です。
メーカーの多くは海外に生産工場を持っています。そのため、工場で生産工程のマネジメントを行う技術系の方々が、海外赴任者としては多くなる傾向があります。
例えば、日本で最も海外駐在員が多いトヨタ自動車は、駐在員の多くが工場の生産ラインで働く技術系の方々となっています。メーカーで海外駐在員を目指すなら、一番良いのは技術系職種に就くことです。
経理担当者も多い
また「経理職」も、メーカーの海外駐在員が多い職種です。実は経理は、メーカーに限らず海外駐在員になる確率が高い職種です。
しかも経理の場合、年次がかなり若いタイミングからでも、海外赴任のチャンスを得られることも特徴です。
例えば、私自身が現地で実際に見てきた中だと、早い人であれば、入社3〜4年目で海外赴任する方も経理職の方がいました。他の職種だと6〜7年目以降の方が多かったので、経理は特に駐在に出るのが早いのです。
特に経理は、新卒の就活時に希望する方が少ない上に、専門的な知識が身につく専門職です。海外駐在員になりやすく、年齢を重ねた後の転職もしやすいため、実は穴場な職種なのです。
メーカーの海外駐在員を目指す方法

「メーカーの海外駐在員になるには、どうすればいいの?」
という方は、まずは「海外駐在員を輩出しているメーカーに入ること」がスタートラインです。
前述通り、海外駐在できるメーカー企業は世の中にはたくさんあります。天下のトヨタに入らずとも、メーカー駐在員には全然なれますから。その点はまずご安心ください。
では具体的にどのようなステップを踏めばいいかというと、次の通りです。
- メーカーの海外駐在に強い転職エージェントに登録する(おすすめは
JAC Recruitment)
- 海外駐在の可能性がある求人を紹介してもらう
まずは「メーカーの海外駐在求人に強い転職エージェント」に登録することが第一歩となります。
いくらメーカーの海外駐在員を望んでも、具体的な企業がわからないと、駐在員を目指す道のりも立てられないからです。
その点で、「メーカーの駐在員にどうしてもなりたい!」という方におすすめの転職エージェントが一つだけあります。それは、業界最大手のリクルートでもdodaでもなく「JAC Recruitment」です。
JAC Recruitmentは、日本ではリクルート、dodaについて3番目に規模が大きい転職エージェントです。
中でも、グローバル分野では国内トップクラスの規模・実績を誇るため、海外駐在などグローバル志向の方には特に合っているエージェントです。
JAC Recruitmentは僕も長年使い続けていますが、メーカーの海外駐在求人の豊富さは圧倒的です。僕はJAC Recruitment経由で、有名メーカーの紹介を受けたり、世界時価総額ランキングトップ10に入る大手グローバル企業の内定を取ったりと、転職活動でかなり役立っているので、リアルな知人にもよく推薦しています。
唯一デメリットは、JAC Recruitmentはハイクラス向けの転職エージェントのため、ご経歴が希望する求人の採用要件に合わない場合、効率的な求人紹介を受けられない可能性があることです。
とはいえ、必ずしも大手企業や役職者、高年収である必要はなく、最近は若手層にも積極的に求人紹介しています。
効率的に求人紹介を受けられなかったとしても特にリスクは何もなく、一方で希望求人の紹介を受けられるなら、メーカー駐在員のキャリアも一気に拓けるでしょう。
まだ転職する気持ちが一切なくても「無料登録」だけ今のうちに済ませておけば、あなたの経歴でメーカー海外駐在になれる可能性がありそうか、電話とメールだけで相談に乗ってもらえます。
もちろん、いま所属している会社に登録したことは一切バレないようになっているので安心して使えますし、登録・相談ともに無料で、登録も5分程度で終わります。
気になる場合は無料登録してみて、自分の可能性を知ることから始めてみましょう。
転職することは一定のリスクはありますが、転職活動で自分の可能性を知ることは、リスクは一つもありません。人生を良い方向に変えるきっかけになりますよ。
無料登録後もお金はかかりません
メーカーで海外赴任を目指すキャリアおすすめ

述べてきた通り、メーカー海外駐在員は、給料良し、福利厚生良し、ワークライフバランスも整っていることが多いため、個人的にはオススメのキャリアです。
特に、物価の安い国であれば、駐在員として1年勤務するだけでも、年間500万円以上貯めることも十分可能です。
現地で楽しく働きつつ、将来のために蓄財をしておけば、40歳くらいでアーリーリタイアし、あとは好きなように自分の人生を生きることもできます。実際そういう方は、僕の周囲でも何人もいます。
例えば、僕が仲良くさせていただいていた取引先の目上の方は、駐在期間中は日本で買っていたマンションを賃貸で貸してローン返済に充てつつ、駐在期間で8,000万円くらい資産を作り、日本に戻ったら会社を退職、「資産運用+家賃収入」で自分は好きな場所に暮らしています。
日本で働いていても、税金は上がる一方で、お金は貯まりません。
でも駐在員であれば、待遇が良く、かつ駐在経験を積んでおけば、その後のキャリアにも箔がつきつき、転職にも有利になります。グローバル人材は市場価値が高いですから。
海外駐在員のキャリアは以下も参考にどうぞ↓
海外駐在員は逆算して行動すれば、本当に誰でも目指せます。僕だって凡人でしたし、「なんでこの人が??」という駐在員もたくさんいますよ。でもそんな人でも年収1,500万円くらいもらっていました。
それを見て、世の中本当に「どこにポジションを取るか」が全てなんだなと感じました。
だからこそ、「駐在員のポジション」を勝ち取り、人生を上昇軌道に乗せていきましょう。
本当に行動さえすれば、実は手の届くところにある未来ですから。