海外駐在員の給料・年収事情について元駐在員が暴露する

海外駐在員の給料・年収事情について元駐在員が暴露する

 

僕は20代で大手グローバル企業に入社し、貿易の仕事をしてきました。その後、20代半ばでアフリカへの海外駐在を経験し、アフリカを起点に、北米、南米、アジア、ヨーロッパ、中東と、世界中でビジネスをしてきました。

 

その経験からよく聞かれることの一つが「海外駐在員の給料・年収って実際どうなの??」ということ。僕も海外駐在員になる前はかなり気になっていたことでしたが、本当の、本当のところ「海外駐在員は年収どれくらいもらっているのか」、リアルなイメージがなかなか湧いてこなかったんですよね。

 

そこで本記事では、海外駐在を経験し、世界中で多くの海外駐在員とビジネスをしてきた僕が、海外赴任の給与・年収事情を暴露します。

 

結論からお伝えすると、海外駐在員は日本では考えられないほど「高収入」を得ていることが多いです。具体的な年収水準は記事で詳しくご紹介します。

 

今回はあくまで僕が「体験」「観測」してきた海外駐在員の給料事情です。赴任する国や在籍企業によっても給料・税制は大きく変わります。あくまで一例としてみていただければと思います。

 

本記事と一緒に読みたい

ちなみに、海外駐在員のキャリアに興味がある方は、以下記事も一緒にどうぞ。海外赴任経験から、駐在員のリアルな実態を詳細まで書きました。

 

海外駐在員の給料・年収の相場

結論、海外駐在員の給料・年収は、日本にいるときの給料と比べて「額面で約1.5倍」「手取りで約1.7〜約1.8倍」が相場です。

 

給与事例:日本で年収700万円の人が海外駐在員になったら

例えば、日本で年収700万円(月58万円)の方であれば、海外駐在すると額面で年収1,050万円(月87万円)くらいになることが多いですね。

 

海外駐在員の年収相場(額面収入)
  • 日本で額面年収700万円→海外駐在員だと年収1,050万円(額面年収は約1.5倍になる)

 

海外駐在員を数多く輩出している有名大手企業の場合、20代会社員でも年収700万円を超えている方はたくさんいます。総合商社は日本での年収も20代で1,000万円を超えてきますからね。

 

日本で年収700万円くらいの方は、海外駐在に行くだけで、年収1,000万円は超えてきます。

 

一方で、年収700万円の日本での手取りは、賞与込みで12ヶ月一律でならすと、だいたい手取りが年間540万円(月45万円)になります。これが海外駐在員だと1.7〜1.8倍近くになるので、手取りで年間918万円〜972万円(月76〜81万円)になる。こういうイメージですね。

 

海外駐在員の年収相場(手取り収入)
  • 日本で手取り年収540万円→海外駐在員だと年間918万円〜972万円(手取り年収は約1.7〜1.8倍になる)

 

このように、海外駐在員の場合、額面の伸び以上に「手取りの伸び」が大きくなることが特徴なんですよね。

 

なんで手取りが増えるのか?

これが海外駐在員の最大のメリットの一つなのですが、海外駐在員は一定期間をすぎると「日本の非居住者」となり、「現地の税制に基づいて税金支払いが行われるから」です。

 

海外の税制はかなり専門的な話であり、赴任する国や企業によって事情が異なるため一言で言うのは難しいのですが、日本と税制が異なる海外においては、当然ながら「税率」も異なります。

 

そのため、会社が税金支払いを一部負担したりと、そのようなことが駐在員の場合は行われるんですよね。

 

このような理由から、海外駐在員になると、基本的には手取りは増える構造となっています。

 

海外駐在員の福利厚生・手当の相場

海外駐在員には高い給料だけでなく、「福利厚生」や「手当」もあります。福利厚生や手当が、海外駐在員はとにかく手厚いんですよね。

 

事例:海外駐在員になると享受できる福利厚生や手当

海外駐在員の福利厚生・手取りの一例
  • 住宅手当
  • 車やガソリン代
  • お手伝いさん
  • ハードシップ手当
  • 出張手当など

 

実際の福利厚生や手当はこのようなものがあります。上記で記載したものは僕が海外駐在していたときにも出ていたので、僕の経験からリアルな具体例を解説しますね。

 

住宅手当

まずは住宅手当。海外駐在員の場合、日本では住めないような一軒家の豪邸や高級マンションに住むための住宅費が、「全額」または「8〜9割」近く支給されることが一般的です。

 

例えば、僕が住んでいたところは家賃20万円くらいでしたが、会社が全額負担してくれました。

 

日本に住むと、賃貸費用だったり、あるいは自宅ローンがかかってくることが一般的ですよね。でも海外駐在員の場合、住居費がかからないので、その分可処分所得はかなり上がりましたね。

 

車やガソリン代

赴任する国によりますが、自分自身で運転できる国であれば、車も支給されます。

 

例えば僕の場合、車が無料で支給され、仕事のガソリン代や高速道路の料金もすべて、会社名義のカード払いでOKでした。そのため、車や移動に関する持ち出しはほぼありませんでした。

 

一方、ベトナムのように鉄道が普及していない国では、事故を避けるために、日本人駐在員の運転が許可されていないケースもあります。このような国では、「運転手付きの専用車」が支給されることが一般的です。

 

お手伝いさん

発展途上国に多いですが、部屋の掃除、洗濯などを任せられるお手伝いさんをつけることができます。

 

例えば僕も、部屋の掃除、洗濯、ゴミ捨て、車の洗車などを全部お任せしていました。周囲の駐在員も利用していましたね。中には家族連れの方も利用しており、奥さんは家事を全くやらず、ゴルフやお茶三昧、という生活をしていましたね(笑)

 

ハードシップ手当

赴任する国によりますが、発展途上国に赴任する場合、ハードシップ手当が別途支給されます。金額は様々ですが、年収50〜150万円UPくらいのイメージですね。

 

特にアフリカや南米、インドなど生活するのが大変な国の場合、100〜150万円をもらえることが多いです。

 

出張手当

海外駐在員になると出張も多くなりますが、出張手当もしっかり出ます。飛行機に乗るとマイルも貯まりますし、海外駐在員は連休があるたびに海外旅行行ってますね〜。

 

しかも海外だと、14連休など長めの休暇も普通に取れたりします。僕は旅行が趣味だったので、当時はいろんな国を旅行して楽しかったです。

 

海外赴任する国や企業によって、年収事情は変わる

ここまで一般的な海外駐在員の年収事情を書いてきましたが、実は「赴任する国」によって、年収事情は変わります。

 

なぜなら、赴任する国の物価指数から、適正な生活費を、会社が緻密な計算から算出しているからです。

 

例えば海外駐在員がもらえる「手当」も、赴任する国の状況によって金額は変動します。一言で海外駐在員といっても、国や企業によって、年収にはばらつきがあるんですよね。

 

ただそれでも、日本にいるときよりは圧倒的に入ってくるお金は増えることは間違いないです。

 

業界や企業ごとの年収の違い

在籍している企業や業界によっても、年収水準は大きく変わります。

 

参考までに、僕自身が世界中で見てきた「海外駐在員が多い業界や企業」は以下の通りです。

 

海外駐在員が多い業界や企業の一例
  • 自動車メーカー(トヨタ自動車、日産自動車、いすゞ自動車、三菱自動車、スズキ、マツダ、日野自動車、ダイハツ工業など)
  • 自動車部品メーカー(デンソー、アイシン精機、矢崎総業、ブリヂストン、住友電装、豊田紡織、豊田合成、豊田自動紡機、住友ゴム、カルソニックカンセイ、横浜ゴムなど)
  • 総合商社(三菱商事、住友商事、三井物産、伊藤忠商事、丸紅、豊田通商、双日、兼松など)
  • 専門商社(日鉄住金物産、長瀬産業、阪和興業、伊藤忠丸紅鉄鋼、興和、JFE商事、岩谷産業など)
  • 電機メーカー(ソニー、キャノン、パナソニック、三菱電機、日立製作所、富士通、リコー、セイコーエプソン、コニカミノルタ、ブラザー工業、ニコン、富士ゼロックス、キーエンスなど)
  • 電子部品メーカー(ミネベアミツミ、村田製作所、日本電産、京セラ、TDK、イビデンなど)
  • 機械メーカー(コマツ、クボタ、日立建機、ダイキン工業、三菱重工業、ジェイテクト、日本精工、川崎重工業、茂原製作所、三菱日立パワーシステムズなど)
  • 化学メーカー(住友化学、東レ、三菱ケミカル、旭化成、富士フィルム、日立化成など)
  • メガバンク(三井住友銀行、三菱UFJなど)
  • 建設・ゼネコン(清水建設、鹿島建設、大林組、竹中工務店、大成建設、五洋建設、安藤ハザマなど)
  • 海運(日本郵船、商船三井など)
  • 物流(日本通運、郵船ロジスティクスなど)
  • プラント(日揮など)
  • コンサル(PwC、デロイト、アクセンチュアなど)
  • IT(NTTデータなど)

 

海外駐在員はこれらの業界・企業に多いですね。

 

日本で年収が高い業界・企業の海外駐在員ほど高年収

基本的には「日本で年収が高い企業・業界」ほど、海外駐在員になると年収は高くなります。まあ考えれば当然です。

 

なので、三菱商事(総合商社)の海外駐在員と、トヨタ自動車(自動車メーカー)の海外駐在員であれば、断然三菱商事(総合商社)の駐在員の方が待遇は良いです。なぜなら前述通り、総合商社の方が、日本での年収水準が高いからです。

 

ですから、日本での平均年収に、前述した目安の倍率をかければ、大まかな企業の年収はイメージできると思います。計算して想像してみることも面白いですね。

 

余談ですが、上記業界の中で、海外駐在員の数が一番多いのは「メーカー」ですね。それもトヨタ自動車の社員や、それに付随するサプライヤー(自動車部品メーカー)の社員は本当に世界中に赴任していました。

 

一方で総合商社も世界中いろんな国へ赴任していましたが、メーカー以上にへんぴな街にも赴任していることが印象的でした。

 

総合商社の場合、商売のタネさえあればいろんな場所に行きますので、「こんな小さなまちに赴任しているの??」という方も、出張でいろんな国を回っている間はよく見かけました。

 

私が見てきた業界ごとの駐在員の年収・福利厚生の特徴

特に海外駐在員の多い「メーカー」「総合商社」の2つを話しますね。

 

「メーカーの海外駐在員」は、総合商社ほど年収は高くないですが、その代わりに「福利厚生」が充実していましたね。

 

例えば、自動車関係のメーカー海外駐在員は、海外赴任前に「現地での生活の視察出張」などがあったり(普通はありません)、日本への帰国費用を年数回分、毎年家族分まで負担してくれたりと・・かなり充実していましたね。

 

年収+福利厚生で考えれば、メーカーの海外駐在員はかなり恵まれていたと思います。以下記事でメーカーのリアルな駐在員事情を書いているので、興味がある方は以下もどうぞ。

 

 

総合商社は、とにかく良い暮らしをしていました。

 

総合商社の方は日本で年収1,000万円を超えている方も多かったので、海外駐在先では年収2,000万円以上の方もいました(役職の高いお偉い方だと、サラリーマントップクラスの年収3,000万円以上も)

 

以下の記事で商社マンの海外駐在員事情を書いているので、参考にしてみてください。

 

 

このように、業界によっても年収・福利厚生事情は変わりますが、どの業界であっても、海外駐在員の年収・福利厚生はかなり恵まれています。

 

ここまで読んできて「自分も海外駐在員になって、いつかは高年収を実現したい」と少しでも感じた方は、海外駐在員を目指す方法をまとめた以下記事も参考にしてみてください。

 

海外駐在員になる方法を詳しく解説しています。

 

 

結論:海外赴任時の給料はサラリーマンの中でもトップクラス

海外駐在員は社内の中でも出世コースです。そのため、給料や待遇は控えめに言っても高いです。特に手取りで考えると、日本のサラリーマンの中でも間違いなくトップクラスになります。

 

高齢化社会で国の財源が足りなくなっている今の日本は、今後は「増税」に向かう流れとなります。なので、サラリーマンとして日本国内で頑張って年収をあげても、なかなか手取りは増えていかないんですよね。

 

その点海外駐在員は額面以上に「手取り」が大きく増えます。ですから、お金や資産形成の観点では、海外駐在員は極めておすすめのキャリアです。

 

資産数千万円を短期間で築くことは、ニューヨークやロンドン、スイス、アメリカなどの物価が高いところだと厳しいです。

 

ですが、東南アジアなど物価が安めの国で5年くらい働き倹約すれば、それくらいの資産を作ることも十分できますし、実際にしている海外駐在員は割といますよ。実際に僕もお金は貯まりました。これは海外駐在員というポジションが恵まれているからこそ、実現できることです。

 

今回は「給料・年収面」で海外駐在員の魅力について書きましたが、駐在は異国の地で働く貴重な体験にもなり、その後の「キャリア」にも有利に働きます。

 

もしあなたが海外駐在員に興味があるなら、海外駐在員を目指してみると良いんじゃないでしょうか。ちゃんとステップを踏んでいけば実現できますよ。

 

でも、どうやって行動すればいいのかわからないことだらけですよね。

 

前述通り、海外駐在員を目指す具体的な方法は「海外駐在員になるには?海外赴任したい方向けに元駐在員の僕が解説【海外勤務できる企業も紹介】」の記事にまとめてあるので、海外駐在員のキャリアに興味がある方は参考にしてみてください。

 

また、海外駐在員含め、「海外で働く方法全般」については「「海外で働きたい」を叶える現実的な仕事・職種を1から挙げていく【海外で働くステップ】」の記事でまとめています。駐在員だけでなく、海外で仕事をするキャリアを幅広く検討したい方は、こちらも参考にどうぞ。

 

▼海外駐在員含めた「海外で働く方法」はこちら

 

僕はすでに海外赴任から帰国していますが、駐在員として赴任した”その先のキャリア”は「海外駐在経験は転職に有利?元駐在員で現在転職支援をしている僕が解説」で経験をもとに紹介しています。

 

こちらも一緒に読むと、駐在員を目指した場合の長期的な人生設計まで、理解が深まるでしょう。

 

▼海外駐在員の「その先のキャリア」も知りたい方はこちら

 

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新卒で大手グローバル企業→20代で海外赴任→現在は本業で転職支援、副業で会社経営。『Travewriter』は、IT・Web・グローバルを中心としたスキル習得やキャリア・転職情報について、実際に経験した体験談をベースに発信している学習・キャリアの情報メディアです。